YKK (上海吉田拉鏈有限公司、上海YKK国際貿易有限公司)
http://www.ykk.co.jp/
董事長兼総経理 本多正憲氏
「他人の利益を図らずして自らの繁栄はない」
<前回の続き>
―御社にとって中国とはどのような国ですか?
「YKKの将来の命運を握っている国」と言っても過言ではないでしょうね。近い将来、世界の衣料品の半分は中国で作られるだろうと言われています。言い換えれば、ファスナー市場の半分が中国にあるということです。ですから、中国事業が失敗したら、YKKのファスニング事業は確実に大打撃を受けます。中国の中でも、40〜50%近い衣料品は上海付近で生産されていますから、我々の責任は重大です。
―ファスナー製造に関して、中国には競合企業があると思いますが、差別化戦略などはございますか?
確かに、YKKが固めた足場を揺るがすような企業が出てくるとしたら、中国だろうなと思います。そういった競合企業に負けないためには、より品質を高めることと、デリバリーやサンプルのスピードなどサービス面を一層強化していくことが大切ですね。そしてこれからは、今まで以上に新製品を開発する力も問われてくると思います。
―社員教育では、どんなところに力を入れていますか?
現在は特に、中間管理職の教育を強化しています。なぜなら、私が上海に赴任した5年前約600人だった従業員が、現在は2000人以上に激増したからです。ものすごい勢いで新人が入ってきますが その人たちを教育しなければなりません。その人たちを教育するのが中間管理職であり、力不足の中間管理職の下では新人もうまく育たず、結果として会社の基盤が脆弱になってしまうからです。
また私は個人的に、一番いい教師はお客様、市場、現場だと思っています。市場の状態を把握する努力を積み重ね、お客様と真剣に向き合い、ご要望を実現できるよう一生懸命仕事に取り組んでいけば、その過程において社員は自ずと成長することができるのではないでしょうか。ですから、教育においてもお客様、マーケット、現場ということを強く意識しています。
―実際に生活してみて感じた上海とはどのようなところですか?
上海は日本と比べると、圧倒的に活気、勢いがあるところだと感じます。街の中を歩いていても、信号待ちで立っていても、元気をもらえる都市です。ものすごい勢いで新しいビルが建設されていたりして、無意識のうちに街が成長していることを感じることができますね。
ただ、ヨーロッパにいたころは、車で1時間ほどいけば、すぐに自然がいっぱいあるところに行けたり、街の中にもきれいな公園がありましたが、上海にはそういった自然の豊かな場所が無いのが非常に残念です。仕事などで疲れた心身を本当に癒すことができるのは、やはり自然の中にいるときだと思います。
―仕事をするときなどに心がけていることはありますか?
国籍を問わずどんな人と付き合うときも、相手をリスペクトすることです。ただ辞書にあるような尊敬とかと言う感覚のリスペクトではなく、相手の存在を認めて 理解しようとすることなどです。たとえ意見がぶつかるようなことがあっても、根底にこの意識があれば、それが相手に通じるはずです。
あとは、取り越し苦労をしないこと。あなたは過去に、「こうなったらどうしよう?」と心配したことで、実際それが起きたことはどれくらいありますか?その確率はどれくらいですか?きっと、心配していたことは殆どおきていないし、起きたとしてもその確率は極端に低いはずです。
万が一、最悪の事態が発生した時の対処法は考えておかなければなりませんが、それ以上はいくら悩んでも意味はありません。ですから私は、何かの問題で不安になったときは、起きたらどうするかという対策を考えた後は、取り越し苦労をしないようにしています。
―最後に、中国進出を目指す企業に対してアドバイスをお願いします。
メンツを重んじる人が多い中国では、ブランドを確立することはとても大切だと思います。集金が難しくて苦労している企業が多いように言われていますが、ブランドを確立できると交渉面でも優位に立てますので、債権回収の解決策としても有効です。ですから、自社ブランドを確立することは大変なことではありますが、成功への確実な道の一つだと思います。
それから、中国には優秀な人材がたくさんいます。その人材をいかにうまく活用できるかが中国事業の命運を分けると思います。採用基準や教育方法を工夫すれば、確実にいい人材の多い会社になりえます。
それと中国では会社に対する帰属意識よりも、人に対する帰属意識が強いようですから、本当に相手のことを思いやりながら接することも、いい人材に会社に定着してもらう大切な要素だと思います。
あと、中国では純日本的な経営はあまり受け入れられないように感じました。むしろ欧米的な経営のほうがうまくいくと思います。ですから、双方のいいところを組み合わせたハイブリット経営を目指すことが、今後の課題となるでしょう。
―ありがとうございました
YKK (上海吉田拉鏈有限公司、上海YKK国際貿易有限公司)
http://www.ykk.co.jp/
董事長兼総経理 本多正憲氏
住所:上海市淮海中路1010号 上海嘉華中心23F
TEL:86-21-5403-8181
FAX:86-21-5405-0830
アポ:嶋田恒平
取材:嶋田恒平
執筆:嶋田恒平
同行:付赫
<取材後記>
YKKに限らず、中国事業が今後の社運を握っているという企業がたくさんあると思います。そんな中国に留学させてもらっていることにさらに感謝しつつ、もっといろんなことにチャレンジしていかないといけないなぁと思う今日この頃です。のんびりとDVDを観ている場合じゃない!! (嶋田恒平)
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