YKK (上海吉田拉鏈有限公司、上海YKK国際貿易有限公司)
http://www.ykk.co.jp/
董事長兼総経理 本多正憲氏
「他人の利益を図らずして自らの繁栄はない」
<今回の企業>
今着ている服のファスナーを見てほしい。ほとんどの人は、「YKK」というロゴを見つけたはずだ。それもそのはず。今回取材させていただいたYKKは、ファスナーの世界シェアNo.1企業なのだ。ファスナーという単価の安い業界に身を投じて、世界シェアNo.1にまで成長したYKKの魅力を、上海社総経理の本多氏に伺った。
<本多氏略歴>
1977年、大学を卒業しYKKに入社。81年、香港社への赴任を皮切りに、87年台湾社、91年英国社、97年ヨーロッパ社、98年イタリア社と海外拠点での業務に従事。2002年上海社総経理に着任し現在に至る。
―まずは経歴についてですが、常に海外で仕事をされていたんですね。
海外が好きなんです。ですから、香港に赴任させてもらって以来、「海外勤務を続けさせてほしい」と希望し続けています。YKKに入社した動機も、海外で仕事をするチャンスが多そうだと思ったことが大きいですね。
―海外を好きになられたきっかけは何ですか?
大学のときに行ったハワイ旅行で、レストランの行列に並んでいたとき、前にいた米国人らしい方に話しかけられたんです。英語は苦手だったのですが、相手の方がゆっくり話してくださったおかげで聞き取ることができて、なんとか会話になりました。その時、「人種も文化も違う人たちと通じ合っている」ということに、ものすごい新鮮味や驚き・喜びを感じました。それがきっかけで海外というものに興味を持ち始めたのだと思います。
―赴任された国々の印象を教えてください。
私が赴任していた当時の香港と台湾、そして現在の上海は伸び盛りなので、仕事の面から見ればこの3箇所はやりがいがあって面白いですね。住むならヨーロッパがいいですね。緑が多くてとても住みやすかったです。ですから、上海で仕事をして、イタリアで晩御飯を食べて、イギリスの家に帰って寝る、という生活ができれば最高ですよね(笑)。
―では御社の事業内容を教えてください。
主な事業は、ファスニング事業、建材事業、工機事業の3つです。ファスニング事業の内容は、ファスナー、面ファスナー、ジーンズやシャツのボタン、かばんなどのバックルの生産・販売です。建材事業では、主にサッシを取り扱っています。工機事業は、外部向けの機械販売もありますが 上述した2つの事業で使う機械や金型の製造がほとんどです。弊社は現在、世界70地域に、122社の生産・販売を含めた拠点があります。上海では、ファスニング事業、中でも、ファスナーの生産・販売が主要業務です。
―御社事業の特徴は何ですか?
最初に挙げられるのが、「完全一貫生産」です。製品のパーツからそれを作る機械まで、ほとんどのものを社内で生産しています。普通は、機械は他の会社から買うとか、このパーツは他に任せるといった分業のような形が多いですよね。しかし弊社は、できるだけ多くのものを自分たちで作ろうという思想でやってきました。なぜなら、設立当時は品質的に安心して分業をお願いできる会社が少なく、本当に良いものを作ろうと思ったら、自分たちで作るしかなかったからです。
また、社長自らが環境宣言をして、環境保護を心がけています。具体的には、土に還るファスナーやリサイクルできるファスナーの開発。また製造においても 徹底した工業排水の処理で環境面を配慮するなど、コストはかかりますが、環境に優しい経営を目指しています。
―御社の経営理念を教えてください。
まず1つ目が、先代の社長が掲げていたYKKの精神「善の巡環」です。この言葉には、「他人の利益を図らずして自らの繁栄はない」という意味合いがあり、弊社のベースになっているものです。
もう1つは、現任の社長が掲げている経営理念「更なるCORPORATE VALUE(企業価値)を求めて、7つの分野(社会・顧客・社員・公正・商品・技術・経営)に新たなQUALITY(質)の追求」があります。7つの分野の中でも、責任者という立場で仕事をする際、「公正」を常に意識しています。この「公正」、すなわちフェアな精神は、仕事に限らずどんな場所でも応用できるので判断の基軸に良く使っています。
―YKKがファスナー世界シェアNo.1にまで発展できた要因は何だと思われますか?
マーケットがある場所にどんどん進出していったことでしょうね。だから、必然的にグローバルになったんだと思います。
服装業は労働集約型産業で、労働単価の安いところを追いかけて世界中に進出していきます。そんな中、弊社が日本から生産・発送しているだけでは、納期に間に合わないとか、お客様の本当に求めておられるものが分からない、といった問題が出てきます。ですから、実際に現地に拠点を作り、そこでお客様の話を聞いて、そのニーズに応えようと努力してきたことが、成功につながったのだと思います。
また、以前は海外に赴任する際、「そこの国の人になるつもりで、もう日本に帰ってこないくらいの心構えで行って来い!」といった感じで送り出されていたようです。ですから、赴任期間が10年以上などよくあることで、自然と現地の言葉も身につき、その地域に根付いた事業展開が実現できました。そういった先輩たちの努力があったからこそ、今のYKKがあるのだと思います。
それから、ファスナー製造というのはかなりニッチな産業です。こういうニッチな製品に、大規模な投資をしている会社はなかなかないですから、そういった点も要因の一つだと思います。
―御社が製造しているファスナーは全部で何種類ありますか?
大きく分けると、金属系、コイル系、プラスチック系の3種類です。細かく分けると、大きさや形や色が様々な上に、それぞれの部品を組み合わせることができるので、無数にあるといっても過言ではありません。
※ファスナーについての参考資料です。興味のある方はご覧ください。
http://www.ykkfastening.com/japan/products/a001/info012.html
―御社が製造するファスナーには、全てロゴが入っているのですか?
基本的には「YKK」のロゴが入っています。皆様もファスナーを開閉するときにつまむ部分、我々はこれを“引き手”といっていますが その部分に弊社のロゴが入っているのをご覧になったことがあるのではないでしょうか。また、引き手にはお客様のロゴが入っていて、接合部、“胴体”とか、“ボデイー”とか言われますがその裏側に弊社のロゴが入っているタイプもあります。ただ、自社ブランド意識の強いお客様などで、弊社のロゴが入っていないものをご利用なさるお客様もごく一部にいらっしゃいます。
弊社のロゴを見て、「YKKのファスナーが使われている商品=いい商品」というイメージを持ってもらえるようになりたいですね。
―私たちが気付かないような、意外なファスナーの使い道はありますか?
まずは宇宙服ですね。完全気密のファスナーが使われていて、内部の気圧を一定に保ちます。同様の技術が、潜水服や、毒ガスを防ぐための軍事用テントなどにも使われています。
また、タンカーが沈没したときなどに油の広がりを食い止めるオイルフェンスのつなぎ目や、球場の芝生のつなぎ目にもファスナーが使用されています。
あとは、内側につまみが着いているので意外と知られていないのが、自動車のシートのファスナー等です。他にも、実用化はされませんでしたが、手術後に縫合する代わりにファスナーを使うという案もありました。
アイディア次第で、ファスナーの使用法はいくらでもあると思うので、皆様も面白い使い道がありましたら、ぜひ弊社までご一報いただければと思います(笑)。
<次号へ続く>
YKK (上海吉田拉鏈有限公司、上海YKK国際貿易有限公司)
http://www.ykk.co.jp/
董事長兼総経理 本多正憲氏
住所:上海市淮海中路1010号 上海嘉華中心23F
TEL:86-21-5403-8181
FAX:86-21-5405-0830
アポ:嶋田恒平
取材:嶋田恒平
執筆:嶋田恒平
同行:付赫
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